魂の還る場所、そして目指すべき未来へ。

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これは福島三春町の滝桜。

日本で3本の指には入る有名桜なので、開花時期は観光一色となる。

樹齢1000年を越える歴史のある老桜で、

枝花が滝のように降り注ぐベニシダレザクラは圧巻。

老木なだけにたくさんの柱で枝を支えられて立っている状態でもある。

もはや観光スポットの見世物としての印象も拭えないが、

この補強のおかげか、あの大震災でも倒れなかったのだからすごい。

神木のような桜を守るという土着の文化もあるのだろうが、

この桜に元気付けられた福島県民も多いのだと思う。

その一方で、滝桜を撮影していて、

雑誌コヨーテで読んだハイダ・インディアンの言葉を思い出していた。

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「去年の嵐で南にあったトーテムポールがついに倒れた。

それはよいことなんだよ」

アラスカのハイダ・インディアンの文化では、

祖先の魂やそれを象徴するものが土に還ることは佳いことと考える。

アラスカの各地にあったトーテムポールは、

その多くが文化財保護のために博物館に持ち出されてしまったという。

人知れず森の中に佇むトーテムポールが自然に朽ち果てて、

森に還っていくさまをただしっかりと見守ってあげること。

これこそがハイダに宿る魂の回帰、すなわち自然観なのだろう。

福島の桜とアラスカのトーテムポール。

これらには文化の違い、生き方の大きな違いを感じてしまう。

ぼくたちが生きる数百年のスパンでは、良し悪しを決めることはできないことでもある。

世界規模でさまざまな変化が起きている転換期の今、

ぼくたちが何を選び、何を捨てていくのかということに注目していきたい。

人間を含めて、動植物が目指すべき未来は一体どこなのだろうか。

都会の雑踏や人々の雑音にかき消されないよう、

内なる声を頼りに、その行き先を探してゆこうと思う。