人間を圧倒するような自然美。
ここは屋久島、白谷雲水峡の緑深き森。
この森を歩きながら、人間の精神とは樹木のようなものだ…と思った。
枝葉の茂った木は、
雨や嵐の悪天候のなかでも、強い陽射しに照りつけられても、
根からしっかりと栄養を吸い込んで、日々その枝葉を伸ばしつづける。
木が育つように、
日々の出来ごとを栄養の糧(かて)として、人の思想や考えは育っていく。
「信念」という根をはりめぐらせ、
経験という太陽光を浴びることで、心は大きな幹を伸ばしはじめる。
「思想」という枝葉をフサフサと生やしながら。
時にはきつい太陽の日差しも、豪雨をもたらす雨風も、
その生い茂った枝葉で心身を守ってくれる。
日々しっかりと栄養を与えてあげれば、
経験というたくさんの葉をつけた「心」が、
困難や苦しさと対峙した自分を助けてくれるはずだ。
ブレることのない樹木のように。
木々がうっそうと生い茂る森を歩きながら、ふとそんなことを考えていた。
フムフム、人が自然から学ぶことは多い。