「自分がもし炭坑夫だったら、
地下に人生の教訓を掘り出そうと努力したであろう。
ぼくにあっては、
飛行機は決して目的ではなくて手段だ。
自分を創り上げる手段だ。
農夫が鋤(すき)を用いて田畑を耕すように、
ぼくは飛行機を用いて自分を耕すのだ」
いまから71年前、あるひとりの思想家がこの世を去った。
彼の名はサン・テグジュペリ。
南米の新航路調査などをおこないつつ、作家として数々の名作を残した人物だ。
代表作『星の王子さま』は、今もたくさんの人に読み継がれる名作。
サン・テグジュペリは、自身の飛行経験を通して得た思想を、
うつくしく哲学的な文章という形で、人々にいまも伝え続けている。
「ひとり空を飛行すること」で彼の思想は、より創造的なものになっていったのだろう。
普通では経験できないことから、多くの知識を与えられて、
小説(ストーリー)というカタチで人々に感動を伝えたのだ。
普通では経験できないこと。
それはサーフィンにもいえることだと思う。
サーフボード一本で海に漕ぎ出して、盛り上がる海水を追いかけて、
うごめく水面を浮遊しながら滑っていく。
これは普段生活する陸上では想像もつかない行為で、何もかもが斬新で不思議な世界。
沖から海を見れば、遥か続く水平線だけがあって、
陸側を見れば、人々が普段の生活をする土地が広がっている。
そこで得られるものは、空を飛行することにも似ている気がする。
サーフィンは道具をそろえることから始まり、ひとり海に漕ぎ出すところまで、
未経験の人にはなかなか想像ができないために、敷居が高いスポーツと思われがちだ。
しかし、実際にサーフィンをしている方からすれば、
思い立って始めてしまえば、「難しいけど感動的で楽しいスポーツ」で、
その難しさに一気にのめり込み、海のこと、道具のこと、天気のこと、
そのすべてが楽しくて仕方ない日々となる。
そう考えてみると、サーフィンをするものの言葉は、
まだ波乗りを知らない人への「魔法の言葉」になるのかもしれない。
期待がふくらむ海までの道のり、朝陽に照らされた海面の輝き、
沖から迫ってくるうねりへのドキドキ感、波のパワーを一気に感じる瞬間、
波の斜面がみせる美しさ、そこに巡りあう本当の海の大切さ。
その場所で経験した言葉には、純粋な楽しさと感動があふれている。
そして、より良い「海とのつきあい方」を創造していく使命がある。
飛行家サン・テグジュペリはこう残している。
「大きな冒険や勝利、創造的な行動に邁進するとき、人はこの上ない喜びを得る」
たった一人の思想家の思いは、
ストーリーという形で時代を超えて語り継がれ、世界中の人々のこころに浸透している。
空の冒険、海の冒険、空と海はどこか似ている。
「空を自由に飛ぶ=波に自由に乗る」
今、グライド(滑走)の快感は俺の人生の支えになっている。
そんなこんなで近々波乗り旅に出ます。
行き先は…スリランカ!!
Have a good winter friends!!